入院中のある日、私は総回診察(そうかいしんさつ)というものを初めて経験しました。

看護師さんに総回診察の説明を受ける

ある朝の事でした。

その頃、私は食事を食べてはいけない指示が出ていた時で、朝食時間中、喫煙所で時間を潰していました。

朝食時間が終わった頃を見計らって病室に戻ると看護師さんが私に言いました。

『笹野さん、今日はこれから総回診察がありますので午前中は必ず病室にいて下さいね。』

『ソウカイシンサツ?その、ソウカイシンサツって何ですか?』

『総回診察とは、外科の部長先生を始め、担当の先生が集まって来ますので驚かないで下さいね。総回診・ソウカイシンとか言いますがテレビ等でも時々使われていますよ。』

そう言えば、胃ガンの末期で兄が入院していた頃、兄が言っていた事を思い出しました。
『この前、総回診察っていうのがあってさ、ドラマで観た【白い巨塔】の通りだったよ。大勢の先生がゾロゾロ入ってきて、本当にドラマの中にいるようだったよ。』

総回診察で部長先生に言われた一言にとても悔しく思う

総回診察の時間になり、外科担当の部長先生を先頭に、大勢の先生方が病室にやって来ました。

ちなみに先頭を歩いていた部長先生は、私がバルーン手術を相談しに行った時の先生でした。

もちろんその中に私の主治医もいました。

病室に入るなり、ひとりひとりのベッドの前で担当の先生が治療法や治療効果などを部長先生に話していました。

私の番の時、主治医は専門用語を交えながら部長先生に説明していました。

病名の事や私が受けていた治療内容、健康食品の話しまでしていました。

主治医の説明が一通り終わると部長先生は他の先生方や看護師さんにも聞こえるように言いました。

『笹野さん、ガンという病気は抗がん剤を使用しなければ絶対に治らないですよ。』

そう一言言って病室を出ていきました。

『今こうやって生きていられるのは【気をつけた食事】と【健康食品】のおかげなんだ。』

人の弱みにつけ込んだような部長先生の言葉にとても悔しさを感じました。

抗がん剤の効果が出るのは『100人に対して数人』

この闘病記ブログのトップページでもお話させていただいた事ですが、私は実兄が胃がんの末期で亡くなった時、その病院の院長先生に尋ねた事がありました。

『先生、抗がん剤というのはどの位の確率で効くのですか?』

すると院長先生は少し時間を置いてこう答えました。

『100人に対して数人ですかね。』と。

こんな【数%】の効果しか期待出来ない抗がん剤を使用しなければガンは絶対に治らないと私に言い切った部長先生の真意が私には『人の弱みに付け込んだような』気がしてなりませんでした。

とても悔しい思いをした初めての総回診察でした。

総回診察イメージ:肝臓がん末期闘病記