胆汁の出る量が異常なほど多い時期、私は主治医の言う通り、スポーツドリンクにかなり比重を置いて水分を摂っていました。

しかし、さすがに毎日飲んでいると飽き飽きしてきます。

そんな時、クラッシュアイスがとても美味しく感じ、口直しのような気分で良く舐めていました。

クラッシュアイスを舐めると、またスポードリンクを飲むことが出来ました。

そんなある日、クラッシュアイスが少なくなって来たので、妻にクラッシュアイスを買ってきてもらうようお願いをしました。

しばらくすると妻が手ぶらで病室に入って来ました。

『アレ?氷は?』

『売り切れだって。クラッシュアイスは今時期、余分には仕入れないんだって。』

私はガッカリしてしまいました。

また、【無い】と思うと、余計に欲しくなるのが人の常。

氷のことばかり考えていた私はふと思いつきました。

《そうだ!1階の自販機の並びに確か【氷】って欠いてあった販売機があったような気がするぞ!》

私は早速妻と紙コップを持ってその場所へ行ってみました。

ありました!【ICE・氷】と書かれた自販機が!しかも50円だ!

製氷機で大失敗:肝臓がん末期闘病記
これがその氷の自販機です。

私は嬉しくてニタニタしてしまいました。

毎日来ているところなのに、なぜ今まで気付かなかったのだろうかと不思議に思う程でした。

私は早速自販機のフタを開けて紙コップを置き、50円を入れました。

『オオォ・・・』

その瞬間、もの凄い勢いで氷が流れ落ちるように出てきました。

置いたはずの紙コップもあまりの勢いでどこかに吹っ飛んでしまいました。

夜の8時過ぎ、誰もいないフロアに氷の飛び散る音が響き渡っていました。

私と妻は慌てふためくだけで、あたり一面氷だらけになってしまったフロアを目の前にしてどうすることも出来ずにいました。

『お父さん、この氷、【氷枕用】って書いてあったよ。食べられないね。』

私も50円では安すぎるとは思っていました。

『でも、1つくらいだったら舐めたって大丈夫だろ?!』と、自販機に残っていた氷を取ろうとしました。

『お父さん、止めたほうが良いよ。もしもお腹でも痛くなったら大変だから。』

しかし、私はもう目の前にある氷を食べずにはいられませんでした。

自販機のフタを開けた瞬間、残っていた氷がまた更にフロアに転がり落ちていきました。

私はその音にまたビックリしてしまいましたが、それでも残っていた氷を1つだけ取り、口に入れてしまいました。

たった一つの氷を舐めるのに、あたり一面氷だらけにしてしまい、少々大人気ないと感じながらも、私達はその場から逃げるように病室へ戻りました。