この頃、胆汁から赤いミミズのようなものが出てきた経験をしました。しかも不思議なことにそのミミズのようなものが出てきたのは一時的な出来事でした。
結局ゴールデンウィークに退院出来ず
孫達をイチゴ狩りに連れて行くと楽しみにしていたゴールデンウィーク、結局私は退院許可をもらうことが出来ず、連休は病院で過ごす事になってしまいました。
ゴールデンウィークに入ると、子ども達夫婦が孫を連れて見舞いに来てくれました。
その時私はちょうど、ベッドに横になって点滴を受けているところでした。
昼間からベッドで横になって注射のようなものを刺している私を見て心配になったのか、孫は『じいちゃん、大丈夫?』と優しく声をかけてくれました。
『じいちゃんは大丈夫だよ。もう少しで元気になるからね。元気になったら、また動物園に行こうね。キノコ採りも楽しみだな。』
『うん!』孫は嬉しそうに笑いながらうなずいてくれました。
また、長女の2人目の子どもは6月初めが出産予定日で、女の子だとわかっていましたが、無事に産まれてくれればと願っていました。
皆が帰るととても淋しい思いでした
皆が帰る時、私も一緒に病院の玄関先まで見送ることにしました。
病棟の廊下を点滴台を押して歩いていると、孫は不思議そうに点滴台を見ています。
『押してみるかい?』
と声をかけると孫は、何だか楽しそうに私と一緒に押していました。
帰り際、孫がいつも楽しみにしている自販機の焼きそばを買ってあげました。
その頃の私にとって孫にしてあげられる事はそれくらいしかありませんでした。
そして、皆が帰って行くときは、これもまた、とても淋しい思いがありました。
私は子ども達を見送り、ひとり病室に戻りました。
私は娘に持ってきてもらった趣味のキノコの本を暇つぶしに読んでいました。
ページをめくると、そのキノコが採れた日付と場所がところ狭しと書いてあります。
それは以前、兄と私が書き入れたものでした。あの頃を懐かしく思いながら見ていました。
胆汁から赤いニョロニョロとしたものが・・・
ある日の夕食後、私はいつもの一服タイムをしに行こうとベッドから降りました。
胆汁の容器に目をやると、胆汁が半分くらい溜まっていました。
私はタバコを吸いに行く前に胆汁を処理しようと思い、水洗トイレのような四角い場所に行き、そこに胆汁を捨てました。
捨てた容器にふと、目をやると、何やら今まで見たことも無い赤いニョロニョロとしたものが出て来ていました。
それはまるで赤いミミズのようなものでした。
私は不思議に思い、しばらく眺めていました。
その後も胆汁の処理をする時はいつも容器の中を確認していましたが、その後はその赤いミミズのようなものが出てくる事はありませんでした。
その事を主治医に話そうとも思いましたが、どうせ『ガンだから。』で片付けられてしまうと思い、結局私は赤いミミズの事を主治医に話すことはありませんでした。
今も【赤いミミズのようなもの】の事は鮮明に思い出す事が出来ます。そのくらい不思議な出来事でした。
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