10月は私の趣味でもあるキノコ採りシーズンです。キノコ採りに行くと胃ガンで亡くなった兄の事を良く思い出します。

点滴の無い日曜日のある晴れた日、私は妻を誘って軽井沢へキノコ採りに行きました。

そして軽井沢のいつものポイントへ向かいます。

そのポイントには目印がついています。

その目印は胃がんで亡くなった兄が付けたものです。

胃がんで亡くなった兄が付けたキノコ採りポイントの目印:肝臓がん末期闘病記

私達兄弟が『キノコ狩りの良いポイント』として記憶した場所でした。

私は妻に伝えました。

『この目印は兄貴が元気だった頃、一緒にキノコ採りに来て、幻とも言われる《シモフリシメジ》を初めて見つけた場所なんだ。来年また来た時にこの場所が分かるようにと、兄貴が目印を付けたんだ。』

『体調は大分良くなってきているけど、もし万が一、オレが死んでしまったら、お前がまた子ども達や孫達と一緒にこの場所に来てキノコ採りを楽しんでくれな。』

妻は黙って下を向いていました。

ポイントの『目印』に話しかける

その後、私は何となく、兄が付けてくれた『目印』に話しかけました。

『俺も癌になって、余命宣告まで受けてしまったけど、今こうしてどうにかこの場所にまた来る事が出来たよ。
まだ病気がどうなって行くのか正直不安だけど俺は絶対にガンには負けないよ。必ず勝つつもり。
もう少しこの世界で生きて行こうと思っているから。来年もここに来る。兄貴、俺を見守っていてくれ。』

私は兄が付けた目印に約束しました。

胆汁は不安定だったら1年ぶりのキノコ採りを楽しむ

この日、何故か胆汁はとても不安定でした。

行きの道中では容器から溢れ出てしまった程でした。

妻には『お父さん、今日は残念だけどこのまま家に帰ったほうが良いよ。』とまで言われてしまいましたが、1年ぶりのキノコ採り、そう簡単に諦めることが出来ない私は、強行で行ってしまいました。

幸い、その後の胆汁の出は何とか落ち着いてくれて、1年ぶりのキノコ採りを堪能出来た、思い出の一日となりました。


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