会計を済ませ、外の喫煙所で妻が迎えに来るのを待っていた時でした。
タバコに火を付けてホッとしたのも束の間、ベンチに座っていた私の足が何故か急にガタガタと震えだしました。
すぐにタバコを消し、足に手を当てて震えを止めようとしましたが、震えはひどくなるばかりでした。
少し経つと、震えと共にこれまた普通ではない寒気が襲ってきました。
これは変だ、一体どうしてしまったのだろうと思っているところに妻が迎えに来ました。
私の様子に妻はビックリしていましたが、私は車に乗るとすぐ、ヒーターを全開にしました。
『何故だかわからないけど、急に足が震えだしたと思ったら、今度は急に寒くなってきた。』
『戻って診てもらおうよ。』
『でももう主治医も他の先生も帰っちゃったから。家に帰って寝ていれば良くなると思うよ。』
そう言って車を出してもらいましたが、震えと寒さは更に増し、もう車のヒーターくらいではどうにもならない状態に達していました。
この時、妻は半袖の服を着ていたのだから、私の異変がどれほどのものかおわかりいただけると思ういます。
『悪いけどもう耐えられそうにない。やはり病院へ戻ろう。』
あの造影剤の副作用の時と全く同じ症状
病院へ着いた時には自力で歩ける状態ではありませんでした。
妻が人を呼びに病院内へ走って行き、看護師さんが車椅子を持って駆けつけてくれました。
2人の手を借りてやっとの思いで車椅子に乗り、そのまま応急室のベッドへ。
あの造影剤の副作用の時と全く同じ症状となり、電気毛布の上に何枚も毛布をかけてもらいましたが、とにかく寒い。
しばらくして症状が落ち着いてきた時、私は救急車に乗せられて入院病棟に運ばれました。
突然の事でベッドに空きが無く、しばらくの間、救急処置室で治療を受けることになりました。
また食事が出来ない
少し落ち着くと、今度はお腹が空いて来ました。
この日は朝食以外何も食べていなく、身体がこんな状態でも何か食べたいという思いがありました。
しばらくすると主治医が様子を見に来てくれました。
『身体の具合はいかがですか。』
『先生、お腹が空いて来たので何か食べたいのですが。それに喉も渇いていて。』
『笹野さん、今は食事も飲み物も無理です。しばらく様子を見て考えましょう。』
『では、氷くらいなら良いですか?』
『氷くらいなら良いですよ。』
食事と飲み物がまた無理になってしまったのは、とても辛かったのですが、氷だけでも許可が出たのは内心ホッとしていました。
【水】と【氷】の違いに少なからず疑問は持っていましたが。
『病室のベッドが空くまですみませんが、ここでしばらく我慢してくださいね。何かあったら、ナースコールで読んで下さい。』
こうして私はまた薬の副作用で入院患者となってしまいました。
入院に必要なものを撮りに帰ってもらった妻に、氷は食べられるからと、コンビニで氷も買ってきてもらうようお願いしました。
少しでも早く末期がんと闘う体力、免疫力を付けなければ
私のような副作用を起こす例は、処置方法からみても、先生方はあまり経験が無いように思いました。
生食水であんなに凄い症状が出るとは先生も看護師さんも想像出来ていなかったように思います。
それにしても私は本当にガッカリでした。
一方でこんな状態を繰り返しながらも生きていられるのは、私が運の強い人間だからだと思い、改めて生きていられる事に感謝しました。
しばらくすると妻が入院に必要なものと氷を持ってきてくれました。
私はまず何より最初に妻が持ってきてくれた『命の氷』を口に入れました。
その瞬間、本当に生き返った心地すらしました。
その後も何度も何度も氷を口にしました。
【少しでも早くこの状態を抜け出して、末期がんと闘う体力と免疫力を付けなければ】と考えていました。
そのためには隠れてでも良いから食べられるものは食べて、飲めるものは飲む。
そうでもしないとがんと闘う事は出来ない。
生きるか死ぬか。
生きるために何を選択するかは、自分が決めることだ。
とにかく私は必死でした。
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