10月中旬、やっと退院の許可が出ました。

初めての入院から約半年の間、何回入退院を繰り返して来たのだろうか、家にいるよりもはるかに入院期間の方が長い時期でした。

私は朝食を済ませた後、早々に外のベンチに腰掛けて妻が迎えに来るのを待っていました。

しばらくすると妻が到着。

私は妻にコーヒーを勧め、少し休憩してから帰ることにしました。

私の『オバケ体験』と同じ話しをしていた患者さんに会う

妻とコーヒーを飲みながら休憩したいると、私達から少し離れたところに座っていた患者さん数人の話しが耳に入ってきました。

話しの内容に思い当たるところがあリ、少しの間聞き耳を立てていると、以前私が入院していた個室で体験したあの、『オバケ体験』に関する事でした。

病室で幽霊体験をする:肝臓がん末期闘病記
私の『オバケ体験』

『あそこの人たち、オレが経験したのとほとんど同じことを言っているよ。』私は妻に耳打ちしました。

『あの部屋は何だか変だよ。何かおかしいよ。』と、ひとりの患者さんが他の患者さんにしきりに話していました。

その、話しをしている患者さんの、いわゆるヤ○ザ風の外見と、怯えるように訴えている姿との間に、何とも言えないギャップを感じましたが、その気持ちは良くわかりました。

『私も同じ病室で同じ体験をしました。』

『私もその病室で同じ体験をしましたよ。金縛りにあって本当に怖い思いをしました。』

『ほらみろ!オレの言っていること、嘘じゃないだろ!』

その患者さんは少し興奮気味に話していました。

『早く違う病室に移ったほうが良いですよ。私もそうしましたから。』

そういうと私は妻の車へと向かいました。

『な!前に話したこと、嘘じゃなかっただろ?!』

妻は笑っていましたが、何となく信じてくれたようでした。

同じ病室で同じ『オバケ体験』をした方がいました:肝臓がん末期闘病記


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