大学病院へ行くまでの約1週間、今となってはほとんど記憶がありません。

当時、体重は45キロ前後、黄疸や下痢の症状などは治っていたものの、身体のカユミは続いていました。

しかし、【ガンにブレーキがかかっている】事を信じ、毎日ひたすら、妻が作ってくれる栄養バランスを考えた食事を中心に健康食品、野菜ジュースを摂り続けていました。

そしていよいよ大学病院へ行く日が来ました。妻と一緒に車で向かいました。

前回来た時と同じあたりに車を停め、また同じように少し長い距離を歩きました。

『お父さん!この前ここに来た時とずいぶん違うね!歩き方も調子が良さそうだよ!』

自分でもそう思っていましたし、前回来て歩いた時よりは確実に楽に歩けていました。

待合室で待っている時も確実に前回より楽な体調でした。

『肝臓移植はお断りしてこのまま様子を見たいと思っています』

名前を呼ばれ診察室へ。以前とは違う歩き方で先生も少し驚いた様子でした。

『先生、申し訳ないのですが、肝臓移植はお断りしてこのまま様子を見たいと思っています。

『えっ?どうされたのですか。』

『肝臓移植の手続きは済ませているのですがその後、友人に紹介された健康食品を飲み始めたところ、こんなにも身体の調子が良くなってきて自分でも驚いています。ご迷惑をおかけしますが、このまま様子を見させて下さい。』

先生は少しがっかりしたようにも見えました。

『先生、ご迷惑ついでに一つお願いがあるのですが、このまま様子を見ていく中で、もし私の体調が悪くなってしまった時、こちらの大学病院へ来るのには、時間もかかり家族も大変だと思いますので私のカルテなどは、前に入院していた病院に返送して頂けるとありがたいのですが。』

『分かりました。対応させていただきます。』

先生は受けてくれました。私と妻は先生に頭を下げ、診察室を出ました。

病院の廊下を歩く:肝臓がん末期闘病記


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