肝臓移植をするため、大学病院へ入院する日まで迫っていました。

もう、肝臓移植を受けるか否か、決断をしなければならない状況でした。

私の体調は、良い感じがする時もあれば、もちろん悪い状態の日もありました。

しかし、私はこう考えました。

『悪い時もあれば良い時もある、言い換えればずっと悪い状態が進んでいる訳では無い、と言う事は肝臓ガンの進行が進んでいるわけではないのか?もしかしたら肝臓ガンの進行に《ブレーキ》がかかり始めているのではないか?!』

『いつもの妻』を見て決心する

そんなある日、妻がいつものように食事の支度をしている様子を何気なく見ていた時でした。

『健康な妻をドナーになんて出来る訳がない。肝臓移植は止めよう。』

私はこの時期、体調の好転で思考が復活していたこともあったのだと思います。

肝臓移植はやはり止める決心をしました。

私の考え、気持ち

この時私が考えた事や気持ちを書いてみようと思います。

しかしこれは人によって全く違う考えの場合もあると思います。あくまで私一個人の考えとご理解頂いた上で読んでいただければと思います。

私は自分が生きるために大事な妻の、しかも健康な身体にメスを入れて肝臓を切除するなんて言う事は考えられませんでした。

万が一、切除したことによって妻が大事に至ってしまう事だって十分に考えられます。

そして費用

当時の私の肝臓ガンの状態は保険適用条件から外れているため、全額自己負担という選択しか出来ませんでした。

その額は【約2,500万円】です。

移植後の健康(体調)が全く読めない状況で、その額は私達が背負うには余りにも大きすぎる金額でした。

もし肝臓移植を受けたなら

もし私が肝臓移植を受けたならという事で自分なりにシュミレーションもしてみました。

  1. 肝臓移植を受けるため大学病院に入院

  2. 保険適応になる(する)ため、抗がん剤治療で腫瘍を小さくする治療を受ける

  3. 抗がん剤治療の副作用に少なからず苦しむ

  4. 抗がん剤治療が終わり再検査

  5. 小さくなっていなかった場合、更に強い抗がん剤で再治療

  6. 体力的に限界を超え、『死』が来る

  7. 病院の先生方には病院経営、そして実績(キャリア)積みがありますから、きっとこのシュミレーションは間違っていなかったと思います。

    ドナーの妻のリスク

    もし私が肝臓移植を受けた場合、予定ではドナーが妻でしたので、妻にも大きなリスクが出てきてしまいます。

    妻も移植後しばらくは無菌の集中治療室での寝たきり状態になってしまいます。

    しかももし移植が失敗して私に何かあったら・・・。

    妻がいつものように食事の支度をしてくれていた姿を見ていて、私の気持ちがシッカリと固まりました。

    料理をする主婦:肝臓がん末期闘病記


    ⇒次ページ 22:肝臓移植のための入院を断る
    闘病記年表に戻る